あなたのギャップにやられています

「雅斗?」


思わず玄関に駆け寄ったけれど、雅斗のわけがない。
彼にこの部屋を教えてはいないし、昼頃の飛行機で発つ彼は、今頃空港にいるはずだ。

雅斗が訪ねてくるわけがないことに気がついて、落胆しながらドアスコープを覗くと、宅急便屋さんだった。


「木崎さんお届け物です。ちょっと大量なんですけど……」

「大量?」


玄関のドアを開けると、台車に乗せられた段ボール箱がいくつも見える。
なに? これ……。


「あのー、本当に木崎宛てですか?」



そんな荷物が来る予定もない私は、宅急便屋さんにたずねた。



「はい、木崎冴子さん宛です。えーっと木崎雅斗さんから」

「雅斗!」


どうして……。
ともかくその荷物の数々を受け取った私は、ガムテープを無造作にビリッと剥がした。


「あーっ! 炊飯器」


買わなくてよかった。なんて思っている場合じゃない。


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