あなたのギャップにやられています

次の箱を開けると電子レンジが出てきて、次の箱がみじん切りが面倒だと言った私のために買ってくれたフードプロセッサーと、雅斗自慢の切れ味のいい包丁が入っていた。


それらを取り出してみると、どれもきれいに掃除されている。
忙しかったはずなのに、こんなことまで?

電子レンジの入っていた段ボールに封筒を発見した私は、それを手にすると封を開けた。

ドキドキする。
ドキドキしすぎて手が震えてる。



冴子へ


手紙なんて初めてだから、なに書いていいのかわからないんだけど、とにかく日用品がないと困ると思って、送れるだけ送ります。

新しい住所は部長から聞きました。
なにも言わずに住所を書いた紙だけ渡されたけど、やっぱり冴子の住所だよな。


本当はもう一度話したかった。
部屋の前まで行ったけど、やっぱりそこから先には行けなかった。


俺、勝手に冴子を縛り付けていたと反省してる。
夢を諦めて一緒になったって、冴子にだって重荷だよな。
そんなことにも気がつかなかったなんて、まだ未熟だと思ったよ。


俺、どこまでできるかわからないけど、死ぬものぐるいでやってみる。

冴子にもらったチャンスを無駄にしない。

だから冴子、どうか幸せに。

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