あなたのギャップにやられています
差し出し人の名前すらない手紙。
だけど、最後の一文を読みながら、テーブルの上のティッシュを箱ごと抱えて嗚咽を漏らす。
「私が欲しいものは、炊飯器なんかじゃないの!」
雅斗だってそんなこと、わかっているに決まってる。
だけど……どこかにモヤモヤをぶつけなければやっていられない。
『だから冴子、どうか幸せに』って……。
もしかしたら、彼が帰ってくるのを待っていればやり直すことができるのかもしれないなんて、どこかで思っていたのに、もうはっきり終わりだと言われた気がして、今更激しく動揺する。
終わりを告げたのは、私なのに。
慌てて玄関を飛び出したけれど、もう飛行機は飛んでいる時刻だ。
丁度空を飛んでいた飛行機に、もしかしたら雅斗が乗っているのかもしれないなんて思ったけど、どう見ても小型機だ。
あの飛行機がヨーロッパまで飛ぶわけがない。
私は、肩を落として唇を噛みしめるしかなかった。