あなたのギャップにやられています
別に、イギリスに雅斗を追いかけていきたいという下心はない。
英語ができたとこで、足手まといになるのは目に見えているし。
なにより、百合ちゃんの言うとおり、私の英会話は中学生レベルだし。
雅斗がいなくなってからの私は、前よりもずっと行動的になったと思う。
やりたいと思うことはどんどんチャレンジして、時々リアンのマスターに料理を習ったりしている。
それは多分、遠い異国の誰も頼れない場所で頑張っている雅斗の影響が大きい。
というか、すべてだ。
寂しくなった日常は百合ちゃんが埋めてくれた。
もう私たちは親友だ。
決して、男と女ではないけれど……。
肝心の男は、特にはいない。
相変わらず奥田さんがしつこく誘っては来るけれど、バッサリ断っているし。
というか、あの人なかなかのつわものだ。
どれだけ断っても諦めないその姿勢は、あっぱれとしか言いようがない。