あなたのギャップにやられています
突拍子もないプレゼントだけど、百合ちゃんが私のことを心配してくれているのは十分すぎるほど伝わってきたから、感謝の言葉しかない。
そういえば、雅斗と誕生日を祝ったことがない。
それくらい私と彼は短かったんだというのが信じられない。
だって、すごく濃厚な日々だったもの。
指輪のひとつでももらってから別れればよかった。なんて思ったけれど、彼にはたくさんのものをもらったから。
絵もそうだけど、もっと大切なものも。
彼は人を真剣に愛するということを教えてくれた。
そして、その人のためなら、自分を犠牲にしたって惜しくないというほどの、激しい感情を私に教えてくれたのだ。
雅斗との別れは、辛い経験だったけれど、別れを選んだ自分に、後悔はない。
そして……雅斗と初めてキスを交わした日。
つまり、彼に告白されて付き合うことに決めた日は、リアンには顔を出さず、あの丘に向かった。
人気のない丘にひとりで行くなと叱られたけど、一年に一度だけ、許してほしい。