あなたのギャップにやられています

まるで七夕の織姫と彦星のように、ここで雅斗に会える気がするのだ。
いや、会えなくても雅斗もこの丘を思い出してくれているんじゃないかなんて、勝手に思って。


もしかしたら、雅斗の隣にはボンキュッボンの金髪美女がいるかもしれないのに。
いや、黒髪の日本人女性だったりして。
でも、黒髪美女だと、金髪グラマーよりもショックが大きいな。

そんなくだらないことが、次から次へと頭をよぎる。


雅斗と付き合い始めた時から変わらない大きなブナの根元に腰かけて、ぼーっと空を眺める。


あの頃は、すごく忙しかったけど充実していた。

雅斗とデザインを話し合って、ふたりで作り上げたときの喜びは格別だった。
そして、プライベートも……彼とふたりで暮らすようになって、窮屈な思いをするかもしれないと心配してたのに、全然そんなことなくて、楽しかった。

雅斗の料理もおいしかったな。


あー、もう。
全部雅斗のことじゃん。


くやしい! なんだかすごく、くやしい!

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