あなたのギャップにやられています
よだれがついていたら困ると、とりあえず洗面所に駆け込んだけれど、鏡をみてホッとした。
一応大丈夫みたいだ。
だけど……くせ毛の私は相変わらずボサボサ頭。
いつもはストレートアイロンでバッチリサラサラに整えているのに。
はぁ、こんなところ見られるなんて、かなりブルーだ。
化粧道具がなくてまたリビングに戻ると、キッチンに立っている木崎君がなんだかうきうきした様子で菜箸を持っている。
「冴子、そこに座って?」
「あっ、うん。化粧……」
「いらないって。素っぴんも可愛いよ」
「はっ……見ないでよ」
慌てて顔を隠した私をクスクス笑った彼は、無理矢理私を引っ張って椅子を引いた。