あなたのギャップにやられています

「今日はサービスだから。つべこべ言わずに座った」


木崎君に急かされて椅子に座ると、テーブルに並んだたくさんの料理に目を奪われる。


「これ、まさか木崎君が作ったの?」

「うんうん。冴子、冷蔵庫空っぽだから、朝から大変だったよ」


キッチンを見ると、近くの朝早くからやっているスーパーの袋が置いてある。


「まぁ、毎朝走ってるから、そのついでに買ってきただけなんだけど」


毎朝、走ってる?
どれだけ健康的な人なのよ。
私なんて……最近走ったのは、会社を遅刻しそうになったときくらいしか記憶にないのに。
そうやって、マッチョな体を維持しているわけだと、ちょっと納得した。


「それにしても……」


ご飯と大根のお味噌汁。鮭の切り身。きんぴらゴボウ。ほうれん草のお浸しに、キュウリとわかめの酢の物。

朝なんて、コンビニのサンドウィッチ位ですませてしまう私には、すごいごちそうだ。


「冴子、野菜食べなさそうだから。野菜多目ね」


きっといい奥さんになるよ、君は。
思わず心の中でそうつぶやく。


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