あなたのギャップにやられています
私が堀川さんとの出会いを話すと、マスターも百合ちゃんも「へぇー」と驚きの声を上げている。
「そんなこと、あるんだね」
「私もびっくりです。
でも雅斗の絵を好きだと言ってくれる人に出会えるなんて、ほんとに……」
「冴、あんたやっぱり、雅斗君のこと……」
「あっ……」
慌てて口をつぐんだけれど、マスターはにっこり笑って他の客のところに行ってしまった。
イケメン堀川の登場に、テンションが上がったはずだけど、やっぱり私の気持ちは別のところにあるのだ。
「そういうあんた、嫌いじゃないわ」
百合ちゃんは出されていたお水を一気飲みした。
百合ちゃんが持つと、同じ大きさのはずのグラスが小さく見える。
グラスに残った氷がカランと音を立てて動いたとき、百合ちゃんは私の両肩をムギュっとつかんで眉間にしわを寄せた。