あなたのギャップにやられています

雅斗だって相当な覚悟でイギリスに行ったはずだ。
今、私にできることは、絶対に邪魔をしないことだけ。


「そういう運命なんだよ」


本当は運命なんて一言で、片付けたくない。

運命は自分で切り開くものだ。
決して神様が敷いたレールを歩くことじゃない。


だけど、今の自分を納得させる言葉が他に思いつかなかった。



イーイマージュを退社する日、戸塚部長はわざわざ経理まで来てくれた。


「お疲れさん」

「戸塚部長、本当にお世話になりました」


戸塚部長がいなければ、きっと私も雅斗も今の道を歩んではいない。
私たちの人生において、恩人といっていいほどの人だ。



「冴子のような部下が持てたこと、幸せだったよ。冴子なら必ず道が開ける」

「はい」


部長にそう言われると活力が湧いてくる。

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