あなたのギャップにやられています
戸塚部長の言っていた通り、これで儲かるのか? と思ったけれど、驚くべきことに客足は途絶えなかった。
お客さんは皆、堀川さんのファンだったのだ。
有名無名にこだわらず、好きなものは好きというスタンスがウケているらしい。
堀川さんは全く素人の私の意見も聞いてくれた。
それも、見る目があるなんて褒め言葉つきで。
全く自信なんてなくて始めた仕事だったけれど、路上で細々と絵を売っていた学生の絵が気に入って、画廊で扱ってもらったら、大人気になったなんてこともあったくらいで、仕事は順調そのものだった。
そういう生活の中で、自分は素敵なものを作り出せないというコンプレックスもいつしか薄れていた。
自分の好きなものを他の人にも知ってもらえる。
自分が探し出してきた画家の絵が売れるという満足感で満たされていたのだ。
それは、雅斗の作品が認められたときの喜びと似ていた。