あなたのギャップにやられています

前回の更新は、いくつか来る質問の答えだった。

その中のひとつ、「こんなに有名になったのに、どうして美術館の仕事もしているのですか?」という質問への雅斗の回答は……。


「絵は認められるか認められないか、描いてみなければわかりません。
私はたったひとりでも良いと言ってくれる人がいれば、描きたいと思います。
だけど、それでは収入が安定しません。
大切な人との将来をいつか考えるなら、やっぱり仕事も手放せないのです」

だった。


大きな賞をとった雅斗は、きっと美術館で働かなくたって、絵にそれなりの値段もつくようになったはずだ。
だから他の仕事なんていらない。
それなのに……。


『大切な人との将来をいつか考えるなら』


これは別に一般論として言ったのだろう。


だけどやっぱり、もしかしてって思うくらいは許されるかな。

「私は貧乏だっていいよ」なんて言ったら、「相手はお前じゃないし」って返ってきそうで怖いから思うだけにしておくけれど。

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