あなたのギャップにやられています

それから1年、堀川さんと一緒に仕事をするのがライフワークの一部となって、休みの日でも一緒に美術館巡りをするようになった。


「木崎さん、本当に楽しそうだね」

「はい。ここに飾られているような絵でも、きっと埋もれていた時代があったんだろうなって思うと、やっぱり今の仕事にやりがいを感じます」


雅斗のことを考える。
彼も長い間、認めてもらえなかった時期があるのだ。
それでも深谷さんをはじめ、彼のデザインに心を動かされる人が増えていって、そして今は、大きな成功を手に入れた。


「そうだね。僕たちの新人発掘が、将来の芸術の道の灯火になればいいけど」

「はい」

「木崎さんを雇ってよかったよ。公私ともにね」

「えっ?」


公私共にって、どういう意味?

私が首をかしげると堀川さんはすごくおかしそうに笑った。


「なかなか難しい人だ。これは仕事じゃないつもりなんだけど」


クスクス笑いながら、「まあ、そういうところがいいんだけど」と呟いている。

待って。
それって、もしかして……。

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