あなたのギャップにやられています

『ほんと鈍感なんだね、冴子は』


雅斗に告白されたあの日の言葉がリフレインする。
えぇっ! そういうこと?

私が驚きのあまり言葉を失っていると、堀川さんが「好きなんだけど」といたって普通の顔をして言うから倒れそうになる。

まさか、このイケメン男子が私を?
この干からびた私を?


「あのっ、堀川さん!」


思わず大きな声が出てしまって、慌てて口を手で押さえる。


「これほど感性がぴったりあった人に初めて出会ったんだ。
だから木崎さんがうちに来てくれて、僕も楽しくて仕方ない。
残業も全然苦じゃなくなったし」

「はぁ……」


なんと答えていいのかわからなくて、ちょっと間抜けな声が出る。

確かに堀川さんはいい男だし、私の大事な癒しだったし……。
彼の言動にキュンキュンしていたことだってあったけれど……。

それでも、雅斗と別れてから、どれだけ婚活しても具体的に恋人とか考えられなくなっていた私は、遠くで見ているだけで満足だったのに。

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