あなたのギャップにやられています
「雅斗……もう私を置いていかないで」
そんなの勝手だ。
自分から離れたくせに、そんなの……。
わかっているけれど、涙がこぼれるんだから仕方ないじゃない。
「もう、ずっと一緒だ。俺たちふたりで一人前だろ?」
デザイン部にいたとき、自分は必要ないんじゃないかって悩む私に、彼はそう言い続けてくれた。
今だって、彼は立派に一人前だ。
でも……。
「そう、だね」
私がやっとのことで笑ってみせると、彼は私の頬を流れる涙を拭って、深いキスを落とした。
その晩は、三回もした。
いや、私が逃げなければもう一回しちゃいそうな勢いだった。
「俺、まだ足りないんだけど?」
「もう十分です!」
「大丈夫。冴子はなにもしなくていいから」