あなたのギャップにやられています

懐かしい雅斗の味を食べると、元気がモリモリ湧いてくる。
自分でも作れるようにはなったけれど、やっぱり雅斗の味が一番だと思う。


「私、仕事なの。雅斗はどうする?」

「ちょっと仕事があるんだ。個展を開こうかと思ってて」

「すごい!」


自分の好きな絵を並べて個展を開くのが雅斗の夢だったから、それが叶ってとてもうれしい。


「あぁ、やっと夢が叶ったんだ」


もしかしたら、大きな賞を取った彼は、それくらい当たり前のことなのかもしれないけれど、感慨深い様子の雅斗に、初心は忘れていないんだってなんだか安心した。


「よかったね、雅斗」

「冴子のおかげだな。冴子が信じてくれたから、今がある」


溢れそうになる涙を隠そうと、彼に背を向けだけど、すぐに腕をつかまれて振り向かされる。


「ずっと変わらないな」

「なにが?」

「その、感情豊かなとこ」


彼はゆっくり唇を重ねてきた。


< 618 / 672 >

この作品をシェア

pagetop