あなたのギャップにやられています
懐かしい雅斗の味を食べると、元気がモリモリ湧いてくる。
自分でも作れるようにはなったけれど、やっぱり雅斗の味が一番だと思う。
「私、仕事なの。雅斗はどうする?」
「ちょっと仕事があるんだ。個展を開こうかと思ってて」
「すごい!」
自分の好きな絵を並べて個展を開くのが雅斗の夢だったから、それが叶ってとてもうれしい。
「あぁ、やっと夢が叶ったんだ」
もしかしたら、大きな賞を取った彼は、それくらい当たり前のことなのかもしれないけれど、感慨深い様子の雅斗に、初心は忘れていないんだってなんだか安心した。
「よかったね、雅斗」
「冴子のおかげだな。冴子が信じてくれたから、今がある」
溢れそうになる涙を隠そうと、彼に背を向けだけど、すぐに腕をつかまれて振り向かされる。
「ずっと変わらないな」
「なにが?」
「その、感情豊かなとこ」
彼はゆっくり唇を重ねてきた。