あなたのギャップにやられています

「冴子を好きになってよかった」


それは、最大の褒め言葉なのかもしれない。
私だって、雅斗を待ち続けていて、本当によかった。

「私、も……」


私が彼に体を預けると、強く抱きしめてくれる。
ふたりで一緒にいられる幸せが、たまらない。
それは、少し鼓動の速い彼も、きっと同じなのだと思った。


「もう行かなきゃ」


名残惜しいけれど、ずっとこうしているわけにはいかない。


「うん、わかった。続きは夜。濃厚なやつを」


どうしてもそっちに飛ぶのね。


「個展の打ち合わせのあと、戸塚部長に会いに行ってくる。
夜、リアンに行こうか」

「うん!」


雅斗と別れて"星からの手紙"に向かう。

そういえば、雅斗にイーイマージュを辞めたことを言い忘れてしまった。
でも戸塚部長と連絡を取っているなら、知っているだろう。

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