あなたのギャップにやられています

「本気で付き合ってみてくれないか。それで嫌なら諦める。お試し彼氏」


私を自分の方に回転させてしっかり目を見てそういう彼に、少し考える。
勝手に付き合う宣言してキスまでしたくせに、一応私のことも気にしていてくれるんだ。


私に特定の彼はいない。そして、恋い焦がれる人も。
木崎君に好きと言われて、少しうれしいのも事実だし。
こんなに嫉妬してくれる彼の気持ちに偽りもない気がして。


「冴子?」

「うん、わかった」


私はYesの返事をした。
ひとつも断る理由が思い浮かばなかったからだ。

今までそういう対象としてみてはこなかったけれど、彼のことは人として好きだし。


< 62 / 672 >

この作品をシェア

pagetop