あなたのギャップにやられています

「男?」

「えっ?」


ダメだ。
図星だからって、ここで動揺したらバレバレだ。と思ったけれど、もう今更遅い。


「男、なのか。木崎さんをこんな風に……」

「いえっ、あの……」


堀川さんに告白されたのを忘れていたわけじゃない。
だけど、突然の雅斗の登場で完全に舞い上がっていた。


「やっぱりダメだったか」

「堀川さん?」

「君には好きな人がいるんだろうなと薄々は感じていた。それも絵描きだろう?」

「どうして、それを?」

「木崎さんはわかりやすいから。
好きな絵を見るときの君の目は、恋している女の目だった。
この人は、絵を通して誰かを見ているんだなって思ってた」


堀川さんの千里眼にはあっぱれだ。

確かに、私は絵を見ながら、雅斗のタッチと似ているなとか、雅斗ならここの色は別の色をチョイスするだろうなとか、知らず知らずの間に考えていた。

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