あなたのギャップにやられています

「お知り合いですか?」

「はい。もうすぐ嫁にします」

「ちょっと、雅斗!」

「えっ!? それは……」


言葉を失くした堀川さんに、私もしどろもどろになってしまう。


「あっ、あの、堀川さん。彼は、あのっ……」


さっき男の存在を指摘されたばかりなのに、嫁って。
飛び過ぎよ。


「木崎ってことは、もう結婚してるということ?」


今度口開けるのは、堀川さんの方だった。


「いえ、それはたまたま同じ名字で」


こういうのを修羅場って言うのかもしれない。
堀川さんと付き合っているわけじゃないし、別にやましいことはないけれど、とにかくこの重―い雰囲気から逃げ出したい。

私が困惑していると、雅斗が「冴子がお世話になります」なんて勝手にあいさつまでしている。

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