あなたのギャップにやられています

「冴子」

「は、はいっ」

「百合じゃなくて堀川さんか?」

「なにが?」

「恋敵の匂いがする」


匂わないでよ!
こんなところで肉食動物の能力発揮しないでよ。

それは問題発言よ……とさらに困っていると、今度口を開いたのは堀川さんだった。


「そうです。百合さんと僕とで冴子さんを奪い合っていまして」

「えっ!」


堀川さんまでなに言ってるの?


「木崎さん、ここではっきりしてもらいましょうか」

「え……」


私、なんか悪いことしたの? 
雅斗と堀川さんの目が鋭く光っていて怖すぎる。

というか、百合ちゃんは関係ないでしょ。 
百合ちゃんは今、堀川さんにぞっこんなのよ。


「いやー、あの……」


開店前で良かった。
もう仕事どころの騒ぎじゃない。

雅斗も来るなら来るって言ってよ。

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