あなたのギャップにやられています

「それじゃ、あなたたち……」


なんだか照れくさくて小さくうなずくと、百合ちゃんの大きな体が覆いかぶさってくる。


「冴―」

「いや、ちょっと、あの……」


私に抱きついてきた百合ちゃんの力が、強すぎて窒息しそうだ。


「冴子に触れるなよ」


間に割って入ってきた雅斗まで、百合ちゃんに一緒に抱き寄せられて……。


「もう最高よ!」


私よりずっと号泣している百合ちゃんを見て、素敵な友達だと思った。




雅斗の初めての日本での個展は、大成功だった。


彼が持ち込んだたくさんの絵は、やっぱり多くの人を魅了した。
もちろん、私もその中のひとりだ。

そして堀川さんも「見る目があるだろう」と自画自賛していた。

< 640 / 672 >

この作品をシェア

pagetop