あなたのギャップにやられています

空港で、ぎりぎりまで飛行機に乗ることができなかった。
いよいよ冴子とはお別れだと思うと、胸が苦しくなってしまったのだ。


駆けつけてくれた戸塚部長が「冴子に伝えなかったのか?」と心配してくれたけれど、ここに冴子が来たら決心が鈍ってしまう。

そして冴子がそんなことを望んでいないのは、わかっていた。
彼女は俺に別れを告げた時、もう覚悟ができていたのだと思う。

どこか天然な彼女だけど、実はすごく強い女なんだ。


「必ず成功して帰ってきます」

「おぉ」

「だから冴子を……」

「わかってる」


もう部下ではない冴子のことを部長に頼むのは、筋違いだとわかっている。
だけど俺には、他に頼れる人がいなかった。

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