あなたのギャップにやられています
ここにはフェルメール、ゴッホといった有名な画家の絵が展示されていて、思い切ってイギリスに来てよかったと思えるほど、心を揺さぶられた。
と同時に、こんなに偉大な絵を見てしまうと、ここに自分の居場所なんてないんだって感じてしまったのもまた事実だ。
だけど……冴子が泣きそうになりながら、俺との決別の言葉を口にしたことを思い出して、自分の気持ちを奮い立たせる。
俺には冴子という理解者がいるじゃないか。
彼女が信じていてくれれば、きっと成功できる。
俺のイギリス生活は、そんな葛藤で幕を開けた。
ここでの生活は、なかなかハードだった。
美術館での仕事は朝から晩まであったし、慣れない英語での生活は、思った以上に精神的に疲労した。
そして、仕事を終えてからアトリエにこもってひたすら絵を描き続けた。