あなたのギャップにやられています

「嘘。たまたま海岸にドライブに行ったときに見かけたんだ。
すごく景色に溶け込んでいて目を奪われたから、勝手に描かせてもらった。
海の妖精みたいだったんだ。でも、あとから彼氏らしき人も来たよ」

「――そう」


木崎君の話を聞いて、なんとなくホッとした。
どうして、だろう。


「好きな女が描きたい」

「えっ?」

「いつか、この手で冴子を」


そう言いながら私の顎に手をかけた彼の顔が、ゆっくり私に近づいてくる。
彼の長い睫毛の下の瞳に吸い寄せられるような錯覚に陥った私は、ゆっくり目を閉じた。


そっと触れた唇が、やがて離れてもう一度つながって。
ゆっくり入ってきた彼の舌に翻弄される。

いつの間にか彼に抱き寄せられていた私は、彼のなすがままにされていた。




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