ブラッディ トゥ ナイト
逆に折られた関節部分からは白い骨が突き出ていて、痛々しくて見ていられない。
背骨だけは折られていなかった為、壁に寄り掛かる様に座らされていた。
死体に手を合わせた白城は第一発見者の男女4人の学生の話を聞く為に死体のある部屋から出て行った。
鑑識も少なくなり、僕も死体に手を合わせる。
それから白い手袋をした手で、死体にそっと触れる。
手から伝わる嘆き。
この女を殺した犯人は、結婚詐欺をした前科持ちの男、桑月一(クワツキ ハジメ)だった。
僕は死体に手で触れただけで犯人が解るのだ。
だが、犯人が解ったからといって白城や他の刑事に報告したりしない。
僕はこの不思議な力を持っている事を誰にも言っていない。
言ったとしても、嘘だと笑われるか、犯人と何らかの関係があると疑われるだけだ。
どちらにせよ、僕はこの力を公表するつもりはない。