ブラッディ トゥ ナイト

今見ていた夢は、単に俺の記憶から構成された思い出の様な夢。

みゆきの霊が夢の中に来ているわけではない。

「また、だ……」

依頼を完了させた後には、必ずこの夢を見る。

真っ暗な世界にみゆきだけが見えて、俺に囁き掛ける。

鮮明過ぎる声や表情に夢だと解っていても、みゆきの一言一言に返事をしてしまう。

目を覚ます度、みゆきは居ないのだと痛感して苦しい。

「はぁ……」

寝室のカーテンが閉まった窓の向こうはまだ暗い。

バチバチと窓を叩き付ける音がする。
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