ブラッディ トゥ ナイト
俺は重い体を少し起こした。
『何言ってんの、駅すぐだし大丈夫。それよりも明日仕事なんだから、自分の体を心配しなよ』
そう言って俺の頭を軽く撫でたみゆきは寝室を出て行った。
みゆきとの幸せを感じて自然と笑みが浮かんだ俺はベッドに潜り直した。
『結婚……してーなぁ』
扉の向こうからの台所の水音が子守唄となり、俺はすぐに眠りについた。
ピーポーピーポー
俺が目を覚ましたのは目覚まし時計の音ではなく、みゆきの居なくなった家に響く救急車の音と人の声だった。
何事かと思い、閉まっていたカーテンを勢い良く開けた。
雨が止んだ夜の街を、燃える様な赤いライトが辺りを照らしていた。