ブラッディ トゥ ナイト

『ありがと』

俺はゴム手袋と果物ナイフを準備して戻って来た。

『頼んだ』

男は意識を集中させた。

しばらくすると白いTシャツにジーパン姿の若い男が、ゆらゆらと歩いてマンションの下にやって来た。

まだ操られた状態で、俺の目の前に立った男。

マンションですれ違う時に挨拶をする程度だったが、お互い顔見知りだし、みゆきの事も知っていた。

果物ナイフを握る手に力が入り、ゴム手袋の擦れる音がした。

『こいつは、何処からみゆきを傷付けた?』

同じ様に殺してやると、思っていたからだ。

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