ブラッディ トゥ ナイト

僕はグラスに注がれた白ワインを飲み干し、席を立った。

『どこ行くの?』

ほんのり頬をピンクに染めた萌が僕を見上げる。

『トイレだよ』

そう言ったが、僕はトイレではなく寝室へ向かい、小さな箱を持って戻った。

『どうぞ』

萌は僕のグラスに白ワインを注ぎながら、戻って来た僕をチラッと見た。

僕はさり気なく背中で小さな箱を隠しながら席に座る。

『あ、ありがと』

ぎこちない笑顔で礼を言い、痛いくらいに高鳴る心臓を落ち着かせる。



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