ブラッディ トゥ ナイト

声をかけるべきか悩んでしまった。

生きている俺の慰めの言葉は、殺された奈々美には無意味だと思ったからだ。

『私を殺した人は……恨んでない。あの人は……あの人は、脅されてたから』

梓さんは知らないだろうが、藤川の取り調べ中に奈々美が部屋に居たのを俺は見ている。

妹のために殺したと泣き崩れる藤川を見て、部屋から消えて行った。

『3人が捕まればそれでいいと思ってた。だけど1人は逃げ出したわ。今も生きてるなんて許せない』

直接ではなかったにしろ、文月達に殺されたのと一緒だ。

俺なら3人とも死ねばいいと思うが、奈々美は捕まれば良いと言った。

優しい女性だから、依頼するのに抵抗があったかもしれない。

『貴方も……殺せる?』

< 225 / 379 >

この作品をシェア

pagetop