ブラッディ トゥ ナイト
「火茂瀬……お前、いつからこういうの見えてるんだ?」
目的地に向かいながら僕は辺りを見回す。
「いつから?……ん〜餓鬼の頃からっスかね」
「怖いとか思わなかったのか?」
後ろを向くと子猫の幽霊が僕の後を付いて来ている。
可愛いと思ったのは、ほんの一瞬で、子猫に両目が無い事に気が付き、背筋がゾワっとした。
「俺には見えるのが普通だったんで、怖いとか思った事は無いっスね。まぁ、たまに追いかけて来たりするのが居たけど、恐怖よりも“何で俺だけ?”っていう疑問ばっかでしたよ」
火茂瀬は立ち止まると、僕の後を付いて歩いていた子猫を抱き上げた。
火茂瀬が頭を撫でると生きている子猫と同じ様に高い声で鳴いた。
「梓さん、怖いっスか?」