ブラッディ トゥ ナイト
透き通る様なソプラノ声が僕の頬を優しく撫でる。
目が離せない、離したくないと思ってしまうほど歌姫に魅了されてしまっていた。
「マスター、彼女ちょー綺麗っスね。顔も声も」
歌姫を見つめていたマスターは話しかけてきた火茂瀬に視線を向ける。
「本人に直接伝えてあげてください。あとで各テーブルに回って来ますので」
嬉しそうに言うマスターは再び歌姫に視線を戻した。
「チップあげちゃおっかなぁ〜」
歌姫が来ると知り、喜ぶ火茂瀬は財布を広げる。
僕も歌姫の歌声は綺麗だと思うが、顔は画面を付けていて、綺麗と言える情報が少ない。
美声に魅了されてしまい気付くのに遅れてしまったが、歌姫の声はどこかで聞いたことがあるような気がした。