ブラッディ トゥ ナイト

僕に気を遣ってくれたのではなく、自分の都合だったらしい。

可愛いことを言ってくれるから待っていると言ったのに、呆れてしまう。

ニヤニヤしている顔面を殴ってやりたい。

「じゃぁ明日の夜、また会おう。歌姫さんとの羨ましいあれこれを聞かせてくれよ」

マスターの前で怪しい発言は出来ない。

普段僕の口からは出るはずのない言葉だが、今の状況には丁度いいだろう。

「濃厚なのをお話し出来るように頑張りますよ」

火茂瀬は演技ではないだろう。

「それは楽しみだ。明日の夜は期待してるよ」

口の中が痒くなりそうだ。

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