ブラッディ トゥ ナイト
「火茂瀬なら歌姫さんに気に入られて個室へ向かったぞ。それよりお前、見かけないと思ったら車に居たのか」
いつから僕たちの側を離れたのか知らない。
『大好きな酒は呑めねぇし、目に毒だから車に戻ってた』
「そうか……」
文月はこれからどうするのだろう。
成仏していないのだから、彷徨う事になるだろう。
『殺されてる俺が言うのもなんだけど……刑事さんって、ちゃんと刑事なんだな』
車を走らせようとギアに掛けた手を止める。
何を言っているんだと目で訴える。
『本当の意味で悪人を裁いて、しかもちゃんと刑事としての仕事もしてるし』