ブラッディ トゥ ナイト

僕と一緒に写っているものもある。

どの写真も萌は笑っていた。

この笑顔に会いたい。

「お待たせ」

鼻の奥がつーんとした時に紅茶の香りを連れて紗栄子さんが現れた。

「いい香りですね」

紗栄子さんは甘い香りを振り撒くティーカップと生クリームを乗せたシフォンケーキを2つずつ、テーブルに並べた。

「そのまま飲んでも甘いから砂糖はお好みで。ケーキは私の手作りで甘さ控えめよ」

フワフワしたシフォンケーキを指して微笑む。

僕は紅茶に手を伸ばし、一口啜る。

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