ブラッディ トゥ ナイト

声をかけられてしまうのは何となく予想が付いていた。

返事をする代わりに振り返る。

霊は僕を見つめていた。

『アンタ、誰探してんだ?』

「このマンションに住んでいる火茂瀬という男だ。知ってるか?」

数m離れた距離で話す。

『あぁ。あの兄ちゃんならアンタが来るのと同じくらいに、ここを出てあっちに行ったよ』

霊は駐車場を指差した。

「そうか、ありがと。それじゃぁ僕は急いでいるから失礼するよ」

霊に頭を下げてマンション専用駐車場に向かう。
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