ブラッディ トゥ ナイト
んふふ、といやらしく挑発する様に笑うヒツキからは、仄かにアルコールの匂いがする。
グラスが2つ並んでいるが、片方しか濡れていない事から、おそらく俺が来るまで1人で呑んでいたんだろう。
「あとでたっぷり教えてもらうよ」
ゆっくり唇を近づけると、人差し指で止められた。
「それは……あとで」
仕方なく、ワインを呑む事にした。
「乾杯」
ワイングラスが触れ合う。
グラスに口を付け、隣のヒツキを横目で窺う。
「ねぇ。何で仮面、外さないの?」