ブラッディ トゥ ナイト
他の客の声があまり聞こえないので、店は混んでいない様だ。
『あ、ヒツキちゃん居ます?』
思ったより早く火茂瀬が動き始めた。
僕は店に入る準備をする。
『ヒツキなら上に居ますよ』
火茂瀬なら不自然無く2階に上がれる。
『俺、会いに行って来てもいいかな?』
『貴方の事、待ってましたよ』
『じゃぁ上行って来るね』
グラスの氷の鳴る音と火茂瀬が立ち上がる音が聞こえたので、僕は車を降りる。
店内の監視と、火茂瀬にもしもの事があった時の為に近くに居るというのが、僕が店に入る表向きの理由である。