ブラッディ トゥ ナイト
本当は隙を見て、僕も2階に向かう予定だ。
「会員証を」
財布から会員カードを取り出し、扉の前に立つ黒のスーツ姿の男に見せる。
「やぁ、マスター。お久しぶりですね」
「いらっしゃいませ。あれ、お兄さんと待ち合わせですか?」
カウンター席に座り、キョトンとした顔を見せる。
「この前一緒に来てた彼の事ですよ。でもその様子じゃ、偶然みたいですね」
マスターは苦笑いをした。
呑みかけのカクテルを見ながら、何も知らないフリをする。