ブラッディ トゥ ナイト
《香りに包まれし真実》
扉を2回ノックすると、中から了承する声が聞こえた。
俺は再び、催眠薬が充満する部屋に入る。
「ヒツキちゃん。戻ってきたよ」
ベッドに腰掛けて、赤ワインを飲んでいたヒツキは俺の姿を見て驚いていた。
「あら、お兄さん。もう会えないと思ってたわ」
冗談の様に言っているが、驚いた顔を見る限り、本心だろう。
ヒツキは殺人を依頼して、男がココに戻って来ないのを知っている。
だが、依頼が完了している情報は何らかの方法で手に入れているはずだ。
「着飾ってるけど、これから歌う予定だった?」
ヒツキは赤い丈の短いドレスを着ていた。