ブラッディ トゥ ナイト
隣に居るのだから思い浮かべる必要はない。
ヒツキはワインを呑み干し、空になったグラスをアロマキャンドルの横に置いた。
あのアロマキャンドルやヒツキの香水には催眠薬が含まれていて、今も俺を操ろうと薬が漂っているはずだ。
今回、俺の意識が体から隔離されないのは耐性が付いたからではなく、体の表面に結界を張ってもらっているからだ。
「歌うのは良いけど、アクセサリーは付けたくない」
「どうして?似合ってるじゃん」
「仕事で付けてるけど、好きじゃないのよ、ジャラジャラしてるの」
俺にはその言葉が意外だった。
外見からして、派手で華やかな物が好きなのだと思っていた。
「私、シンプルな物が好きなの」