ブラッディ トゥ ナイト

ヒツキはワイングラスが置いてあるサイドテーブルの引き出しを開けた。

俺はヒツキの好むアクセサリーを見せてくれるのだとばかり思っていた。

「もう、お喋りは終わりにしましょ」

目の前に突き付けられた黒く輝く物は、小さいが“本物”だった。

「拳銃はオモチャじゃないんだよ」

拳銃を下ろさせようと、腰を撫でていた手で銃口を優しく床に向けた。

「私は本気よ」

下ろした銃口は再び俺に向けられた。

「どーして?」

「依頼が完了したら殺すことになってるの。大丈夫、初めてじゃないから」

ちゃんと殺せるとでも言いたいのか。

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