ブラッディ トゥ ナイト

拳銃を握る萌の震える右手を掴む。

「殺してもいいよ。……4年前、萌を助けてあげられなかった無力な僕を、殺してくれ」

「よ、ねん……前……?」

拳銃を持ったまま、両手で頭を抱え始めた萌は、呪文の様に“4年前”と何度も呟く。

「4年前、僕たちは3年目の記念日だったんだ。萌を家まで送り届けた後、君はリップを買いにコンビニへ向かい……そして、君は消えた」

苦しむ萌に、泣きそうになりながら伝える。

「わた、し……」

萌は僕を見つめる。

「萌?思い、出してくれた……?」

思い出してくれたかもしれない期待と、助けてあげられなかった事で拒絶されてしまうかもしれない恐怖が入り混じり、体が小さく震え出す。

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