ブラッディ トゥ ナイト

《傷口から生まれし者》


プロポーズをされた3年目の記念日。

薬指で輝くシルバーリングを愛おしく見つめる。

幸せな気分で家に帰ると、お気に入りのリップクリームを梓の家に忘れて来てしまった事に気が付いた。

唇が荒れやすく、リップクリームが必需品の私にとって、なくてはならない物。

明日は雑誌の表紙の撮影があるので、唇が荒れている訳にはいかない。

脱いだパンプスを再び履き、近くのコンビニへ急いだ。

バレない様に帽子を深くかぶり、レジを通過する。

「あ、あの」

明日も朝が早いので急いで帰ろうと、小走りで家に向かっていると後ろから声を掛けられてしまった。

バレてしまったのだろうか。

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