ブラッディ トゥ ナイト

少しだけ開いた目で、頭と同じ様に痛む両手を見る。

溶けていた。

その時、鼻を突く薬品の臭いや掛けられた液体が硫酸だと気付いた。

痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ!!

悲鳴をあげようにも、助けを呼ぼうにも、口を閉じ、奥歯を噛み締めていたせいで唇が溶けてくっついてしまい声が出せなかった。

瞼が閉じたままで、泣く事すら出来ない。

梓、助けて。

鞄の中でメールを受信してケータイが鳴る。

梓からのメールの音。

きっと、こいつを捕まえて、私を助けてくれるよね。



< 328 / 379 >

この作品をシェア

pagetop