ブラッディ トゥ ナイト

私の絶望の泣き声は口内でこだました。

「あ、目が覚めたんですね」

静かに扉を開けて先生が部屋に入って来た。

「萌ちゃん」

私の名前を呼ぶご機嫌な声の主を見た時、私は初めて絶望のその先を見た。

それは涙が止まるほどだった。

声の主は先生ではなかった。

私を醜い姿に一瞬で変えた青年が、ゆっくりと私の横たわるベッドに近づいて来る。

「イヤッ……来ないでッ……!!」

悲鳴とも言える拒絶の言葉は、虚しくも口内から出ることはなかった。

呼吸が乱れ、再び涙が溢れる。


< 331 / 379 >

この作品をシェア

pagetop