ブラッディ トゥ ナイト
「目が開けられるようになったのは、俺が手術したからなんだよ」
青年はベッドの淵に腰を下ろした。
ベッドが軋み、私の体が少しだけ上下に揺れる。
「口は五月蝿いだろうから、もーちょっとしたらね」
青年が私に手を伸ばしてくる。
私には、それを避ける事は出来ない。
「前髪の頭皮には掛からなかったみたいだよ。……良かったよ、綺麗な金髪が失われなくて」
優しく私の頭を撫でる青年は、私を醜い姿に変えたあの日の青年と同一人物だとは思えない。
自分で硫酸を掛けておいて、治療するなんて、意味がわからない。
解りたくもない。