ブラッディ トゥ ナイト
「あの……従業員まで逃がして良かったんスか?」
「あ、あぁ。一応話は聞いたんだけどマスター以外は何も知らないみたいだ」
振り返ると、いつもと変わらぬ様子で静かにグラスを拭いていた。
「“私以外は関係ない”って言っててな。だから少し話を聞いて、電話番号を控えさせてもらったくらいで帰したよ」
「彼には話、聞きましたか?」
「いや、詳しい話はこれからだ」
白城先輩はグラスを拭くマスターの所へまっすぐ向かった。
俺は黙ってその後ろをついて行く。
「さて、貴方がこの事件にどのまで関わっているのか教えてもらえますか?」
白城先輩はマスターの目の前のカウンター席に腰掛ける。