ブラッディ トゥ ナイト
すると彼女は私に背を向けて、水を飲み始めました。
「貴方は……初乃咲萌さんですよね?どーしたのですか?」
「あの子は眠ってるわ。私はヒツキ」
すぐに理解は出来ませんでしたが、彼女は二重人格なのだと思いました。
「あの子は酷く心身を痛めているわ。だから私が助けてあげるの」
彼女は水を飲み干し、こちらに体を向けましたが、顔は伏せたままでした。
私に顔を見せないまま、彼女は初乃咲萌に起きた悲劇を語り始めました。
私は相槌を打ちながら、彼女の話を聞いていました。
その間、同情する様な言葉は掛けませんでした。
可哀想だとは思いましたが、顔を伏せたままの彼女にその様な言葉は、彼女を傷付けるだけだと思ったからです。